電気火災(C火災)とは、電気機器の能力を超える電圧によって加熱し、発火する火災です。能力以上の電流は過電流(かでんりゅう)と言い、通常は過電流が発生したときに電流を遮断するように工夫されています。
遮断方法は、ヒューズ(車製品など直流電源に使用される)やブレーカー(家庭電源など交流電源に使用される)ものが一般的。しかし、ヒューズ手前の回路やブレーカー先の電源タップなどで発生すると機能しない場合があるため、電源の取り扱いにも基礎知識が必要です。
電気火災が発生する原因
コンセントや分岐の電源タップには、最大電圧(W、ワット数)が表示されています。洗面台やキッチンのコンセントなど、ワット数の大きい家電製品を使う場所は特に表示されています。
使用電力の高い(ワット数も高い)家電製品の代表例は次の7つです。同じコンセントに挿して同時に使わないように注意しなければ、ブレーカーが落ちます。
- 電子レンジ
- 電気ポット
- アイロン
- ドライヤー
- 掃除機
- 電気ストーブ
- エアコン
ブレーカーが落ちたときは、同時に使用していた家電製品のスイッチを切り、コンセントから抜いてからブレーカーをONにします。ブレーカーが切れたときは中立(ONでもOFFでもない中間位置)になるので、OFFにしてからONにします。
跳ね返ってきたスイッチはOFFにして、なるべく早く電気屋さんに電話しましょう。
大量に電気を使う家電製品としては以下のようなものも要注意です。
- ミキサー
- コーヒーメーカー
- トースター
- 電気工具
- エアコンプレッサー(工具)
- 布団乾燥機
- ホットカーペット
- 電気コタツ
使用する際には、電源タップではなく壁のコンセントを使うことをおすすめします。
タコ足配線による発火
昔からタコ足配線が危険ということは知られていますが、携帯電話やスマホの普及によって充電器をたくさん使う場面が増えています。充電そのものは低い電圧ですが、コンセントに刺すコネクターはそれなりに電力を使用しているため、熱を持って発火に至ります。
タコ足配線をせざるを得ない部屋では、使う部分だけスイッチを入れられるタイプの電源タップを使うようにしましょう。節電にも大きな効果があります。
コンセントのホコリから火が出るトラッキング現象
テレビの裏など掃除しづらいコンセントには、ホコリが溜まりやすいものです。このホコリが湿気を吸うとショートさせる線の役割をしてしまうため、火花が散ります。加熱されたホコリそのものが燃えだし、コンセントから火事が起こります。
この現象をトラッキング現象といい、対策はコンセント周りを掃除機で吸うことで防止できます。3ヶ月に1回だけでも十分なので、季節ごとにコンセントを中心として掃除機をかける日を作ってください。
別荘や空き家になってしまった実家など、数ヶ月単位で住まない家屋では、できるだけコンセントを抜いておきます。ブレーカーを切るだけでは、次にブレーカーを入れるときに危険だからです。コンセントを抜いておけば、コンセントにホコリはたまりません。
炎天下の駐車時にモバイルバッテリーを放置
炎天下の車内で、ボールペンが破裂した経験がある人もいると思います。モバイルバッテリーも密閉されているため、高温になる真夏の車内に置いておくと、膨張して破裂、発火します。
せめて、直射日光の当たらないグローブボックスに入れておくなどしておけば、車両火災を免れる可能性があります。ただし、ギュウギュウに詰まったグローブボックスに入れると、かえって高温になる可能性がありますので要注意です。
スマホの過充電で燃え上がる
車内のモバイルバッテリーでは太陽光が原因で膨張、発火や爆発しますが、スマホの過充電の場合は本体が加熱してそのまま発火します。
スマホに内蔵されているバッテリーが100%充電されているときに、さらに充電すると加熱し爆発する可能性があります。
モバイルバッテリーならば安全性を高めるために、充電できないときは30秒程度で電力の供給を止める機能がついていますが、単純な電池式充電器や、車のシガーソケットからの直接充電の場合は過充電となる可能性があります。
車の素人改造による漏電で車両火災
カーアクセサリーをDIYで取り付ける人が増えていますが、電気知識不足のために車を燃やしてしまう事例も増えています。車の電源は12V程度の低い電圧ですが、プラス同士をつなげてしまうと簡単に配線が発火します。
初めてカーアクセサリーを取り付けるときは、なるべくシガーソケットから電源を取るようにしてください。もしもバッテリー直結が必要なものの場合は、プラス線に必ずヒューズを取り付けるようにしましょう。
愛車が動かなくなっては、避難時に使うことができません。心配な場合はカーショップに依頼して取り付けてください。