地震時の避難方法3点

地震時の避難方法3点

地震時の避難方法は、自宅からの脱出方法避難場所の選定方法避難所までの移動方法の3点。ポイントは、ケガをせず、安全に避難所に到着することです。それぞれ具体的に解説します。

地震時の避難方法は?
目次

地震時の避難方法の注意点は

地震時の避難は、状況別に必要な防災知識が異なります。

  • 自宅から脱出するには?
  • どこへ避難すれば安全か?
  • 避難所への移動方法は?

地震発生直後に自宅から脱出するには?

地震直後、夜の停電が発生したら、床には割れた窓ガラスや食器の破片が散乱していて危険です。踏んだ瞬間に転倒して手のひら、顔などにも破片が刺さる危険があります。

スマホを手に持っているなら、LEDライトを点灯し、スリッパを履きましょう。少なくとも靴下を履いてください。履いたら、次の行動に移ります。

  1. ガスの元栓を締める
  2. 玄関までのドアをすべて開ける
  3. 靴を履く

余裕があれば、お風呂場や玄関にあるブレーカーもOFFにします。地震後の二次災害はほぼ火災です。ガス管破損によるガス漏れと、宅内電線やコンセントに物が落ちることで発生するショートなどで火事が発生します。

倒壊しただけの家屋なら、思い出の品や電化製品が取り戻せる場合がありますが、火災になったら燃えてなくなるか、消火水で濡れて使えなくなります。ガスの元栓ブレーカーは余裕があるときだけでいいので、できるだけ対処しておいてください。

無事に玄関に到着したら、カギを締めて安全な場所へ避難します。カギを閉めるのは、地震発生時をねらった空き巣対策のためです。ただし、近隣で火災が発生しているときは消防隊への協力として、カギは開けたままにしておいてください。

燃えて自宅を失うより、空き巣のほうがまだマシという感覚でかまいません。命さえあれば、生活保護を活用してでも暮らして行く道はあります。

地震発生時はどこへ避難すれば安全か?

地震発生直後、無事に玄関にたどり着いたら、他のすべての家が倒壊しても巻き込まれないスペースまでは走って逃げてください。次に、電柱が倒れてきても安全なエリアまで避難します。

避難所と避難場所の違いは?
地震では、まずは公園などの「避難場所」へ移動する

その他、看板やブロック塀なども倒壊の危険があるので、まずは公園などの広域避難所へ避難します。

  • 広い公園(遊具からは離れる)
  • 広い駐車場
  • 学校のグラウンド

上記のように、何かが倒れてきても下敷きにならないくらいの広さがあるところへ避難します。なお、立体駐車場やマンションの1階部分の駐車場は危険です。

阪神淡路大震災のとき、マンションの1階部分が駐車場だったものが完全に落ちて、2階が玄関になっているマンションをいくつも目の当たりにしました。駐車場は頭上になにもない場所に限って安全です。

上記の緊急避難場所などで、しばらく余震の状況を確認します。安全だと判断したら、本格的に避難所へ移動し始めます。

地震時に避難所へ安全に移動する方法は?

大地震発生後の道路は、アスファルトマンホール隆起していたり、倒壊した家屋やビルで通行不能となっていることが少なくありませんので、徒歩での避難が確実です。

家庭状況やペットがいるなど車で避難せざるを得ない場合は、必ず大きい道を選択してください。

地震発生直後ならば大きな国道や、都道府県道ならば通れる可能性が高く、比較的安全です。数日後は、緊急車両専用道路になるので、発災直後のみの判断になります。

地震時に避難所へ安全に移動する方法は?
国道や都道府県道は比較的安全に通行できる

車で避難しなくても良い場合は、自転車スクーターが機動的です。一番便利なのはモトクロスバイクやスーパーカブのような車輪の大きめのものです。

車高の低い車やスクーターでは、アスファルトの隆起を超えられず遠回りしたり乗り捨てなければならないことがあります。乗り捨てるときは、残念ですがキーを付けたまま道路脇に停めておきます。これは、消防車や自衛隊車両が通行すると似に移動してもらえるようにするためです。

  • 車での避難は大通りを通行
  • 自転車やスクーターが有効
  • 乗り捨てるときはキーを付ける

避難所が近いなら、徒歩での避難が安全かつ確実です。

乳幼児を連れた避難の注意点

乳幼児を連れた避難は、車がベストです。ベビーカーや粉ミルク、紙おむつ、瞬間湯沸かしポットを車に積み込み避難所へ向かいましょう。

乳幼児を連れた避難の注意点
キャンピングカーである必要はありませんが敷布団は必須

乳幼児はどうしても他の避難者のストレスになるために、親も疲れやすくなります。車があれば車中泊避難ができるので、子供も周りを気にせず安心して寝ることができます。

乳幼児を連れた車避難のメリット

  • 子供が泣いたりしても迷惑をかけない
  • 体育館などでは眠れない子も安心
  • DVDを見せるなど気を紛らわせられる
  • おもちゃなどで遊ばせられる
  • 母乳の授乳ができる
  • 他の子供とのケンカが発生しない
  • 避難所の雑音から遠ざけられる
  • 悲惨なけが人などを見なくて済む

乳幼児を連れた車避難のデメリット

  • 車から離れられない
  • 夜のトイレでドアの開閉音がする
  • 避難所の連絡が聞き取れない
  • 狭い場所に飽きてしまう
  • 車以外の電源が使えない
  • アイドリング音がうるさい

電源は、最近ポータブル電源が安くなってきているので、キャンプ用品と割り切って車に積んでおくと便利です。

また、シガーソケットでもコンセントが使えるカー用品もあるので、スマホやスイッチの充電のために用意しておくといいでしょう。わたしは釣りも趣味なので、どちらも用意しています。

趣味を兼ねて、キャンプ用品などを揃えておくことで防災力をアップさせることができます。別コーナーで解説します。

地震の避難時に持ち出すべきものは

地震の避難時に持ち出すものは、消耗品が優先です。台風などのように通過すれば安全になることが予想できないため、避難所生活が長期間になりやすいからです。食料品、紙おむつ、生理用品、スマホの充電器などが優先です。

地震時に最低限持ち出すべきものは?

  • 食料品
  • 生理用品
  • コンタクト
  • 紙おむつ
  • スマホ充電器
  • ティシュペーパー
  • タオル類
  • 着替え(最小限)
  • 処方された薬
  • 金銭やキャッシュカードなど

避難生活が長期に渡ると、3日目以降は国の支援物資が届くことになっています。

しかし、現実的には道路が通行不能になっているため、支援物資のトラックがあなたの避難所へ到着するのは1週間以上先になります。

スーパーの棚は空っぽになる
東日本大震災時、わたしも経験しました

当然、コンビニやスーパーの棚には何も補充されない日々が続きますので、持ち出すものの最優先は食料品となります。

わたしは、東日本大震災の救援活動に発災後2ヶ月以上経ってから向かいましたが、プレハブの市役所前に給水所があるだけで、電柱すらまだ再建されていませんでした。ホテルそばのスーパーの店は、商品はほぼなく、食べ物でないものばかりが残っていました。

救援物資が日本中から届けられますが、ほとんどが都道府県庁から避難所へ転送できないままとなっていたり、つかえない衣類や賞味期限切れの飲料などが届くのが現状でした。

気持ちはありがたいものの、「避難所はゴミ箱じゃない」とグチをこぼさずにはいられない心境になりました。

避難生活は長期化すると想定して、とにかくカップ麺カップスープ袋菓子など何でもいいので避難時には持ってゆきましょう。乳児用の粉ミルクは備蓄されていることが多いので、とりあえず1缶だけ持っていけばなんとかなります。

車中泊避難の注意点

車中泊での避難は多くのメリットがある反面、多くのデメリットもあります。特に注意したいのは健康被害と他の避難者とのトラブルです。

車中泊避難の健康被害〜エコノミークラス症候群とは

車中泊の健康被害はエコノミークラス症候群が代表的です。狭い空間に同じ姿勢でいることで血流が悪くなり、血栓が発生、心臓や脳に到達すると最悪命に関わります。

エコノミークラス症候群とは?
エコノミークラス症候群の発生流れ

車中泊に限らず、狭い避難所のプライベートスペースに閉じこもっていると発症するため、避難所運営者にとっては有名な健康被害です。トイレの回数が少なくなることも原因として判明しています。

エコノミークラス症候群の防止法は2つだけですので、避難所生活の際は必ず実行してください。

  • 定期的な散歩
  • 水分を取る
エコノミークラス症候群の予防運動
予防運動方法もありますが、散歩が手軽です

定期的な散歩は、避難所の建物の周りを2時間ごとに歩く、ペット避難者の散歩について行く、避難所見回り役を買って出るなどで解消できます。毎日欠かさず短時間の散歩をするだけで血栓ができづらいカラダづくりができます。

水分は、できるだけ水道水にします。コーヒーやお茶などの嗜好品ではなく、常温の水道水がおすすめです。浸透圧によって、体内の濃くなっている血液や体液を薄めてくれる効果があります。また、水分をとったら頻繁にトイレへ行ってください。体内の水分調整がポイントです。

車中泊避難の近隣トラブル

車中泊の近隣トラブルは別コーナーでも紹介している通り、原因は騒音明かりです。

  • ヘッドライトがついている
  • ドアランプが点きっぱなし
  • ドアの開閉音(電子音含む)
  • 車内での大騒ぎ
  • アイドリング音

特に、真夏や真冬の車中泊避難では、冷暖房のために深夜でもアイドリングする車が増えます。サーモスタットが動くたびに、エンジン音がひときわ大きくなるので、周囲には相当なストレスを与えます。

避難所生活に関する詳細は避難所ノウハウのページを参照ください。

自宅にはいつ戻れるのか

大地震発生後は、原則として自宅に入ることができません。都道府県や市区町村の職員が目視で安全と判断した場合に限り、入ることができます。

現実的には震度5程度なら問題なく自宅に入れます。ただし、近隣の住宅が倒壊している、隣家が自宅に寄りかかってしまっている場合、次の余震で押しつぶされる可能性があります。状況をよく見て入りましょう。

自宅の家財や生活用品を取りに帰るだけなら、自宅に行政の立入禁止家屋の表示がないなら帰宅可能です。しかし、自宅での生活となると、よほどのことがない限り長期化します。帰宅の目安は、避難所の閉鎖です。

阪神淡路大震災のとき、神戸のある大学のグラウンドは長いあいだ避難者のための仮設住宅(プレハブ)が建設されていました。もちろん大学もカリキュラムを消化する必要があるので、講義も行われていたのですが、避難者も暮らしづらかったと話していました。

避難所生活は決して快適なものではありません。仮設住宅になればプライバシーが守られるため相当ストレスが緩和されるようですが、自宅へは数年単位で帰ることができないままとなるのが現実です。

できるなら、遠方の親戚の家での共同生活ができるように平常時に相談しておきましょう。

\シェアお願いします/
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次