一般火災(A火災)の防火知識

一般火災(A火災)の防火知識

一般火災(A火災)は、燃えるもの(紙など)と熱源(炎など)で着火し、酸素と燃える物体がある限り燃え広がり続けます。住宅街の火災はもちろん、山火事などの自然火災も「燃え広がる」ことが危険です。

火災は夕方6時から早朝にかけて発生しやすい

一般火災の消火は、酸素を奪うことと、熱源の温度を下げることで消火することができます。基本的には、大量の水をかけることが手っ取り早く、素人でも消火できる方法です。

目次

ストーブからの引火

冬場になると、ストーブを窓辺においたり、洗濯物をそばに置いて乾かしたりしてしまいませんか。

ストーブからの引火
ストーブで洗濯物を乾かすときは真上を避ける

灯油ストーブのそばにカーテンや洗濯物があると、乾燥して軽くなります。ストーブの上昇気流が風を起こし、布が触れて引火する例が多く報告されています。

カーテンに引火したら

燃えている部分よりも上から大量の水をかけます。水はカーテンをつたって、燃えている部分に流れて熱源の温度を下げてくれます。同時に上へ燃え広がらなくなるため、そのまま鎮火します。燃えている部分に水をかけても消えませんまだ燃えていない上の部分をねらって、大量の水をかけましょう。

洗濯物に引火したら

燃えている洗濯物に大量の水をかけましょう。燃えている洗濯物はつかまないでください。あなたが着ている服が引火性のものだった場合、自分が燃えてしまいます。

逆にTシャツなど肌の露出が多いときも、燃えている洗濯物から出る火の粉でやけどを追う可能性が高く、かえって燃えている洗濯物を投げてしまう場合があります。

洗濯物を水場に持っていこうとしないでください。その場で大量の水をかけましょう。

ゴミに引火した場合

可燃ごみなどが引火した場合は、野菜くずなどの生ゴミによって大量の黒煙が出る場合があります。可燃性のゴミなども混ざっているため、水だけでの消火には時間がかかりますので、消火器を使うことがおすすめです。

ゴミに引火した場合
ごみに放火の可能性もある

ゴミ袋は炎ですぐに溶けてしまいます。ゴミへの引火が屋外だった場合、燃えたゴミが炎の上昇気流や自然の風にのって燃えたまま近隣住宅へ飛んでしまう危険があります。できるだけ早急に消火器で消してください。

資源ごみに引火した場合は、スプレー缶やペットボトルが加熱されて爆発する可能性があります。特にペットボトルが溶けながら燃えると、飛び散った場合には服や肌に長時間くっついてしまい、重いやけどを負う可能性があります。

資源ごみが引火した場合は、水をかけるとともに、すぐに消防署へ通報してください。素人が鎮火させるのは相当時間がかかるだけでなく、爆発有毒ガスの発生の危険がありますので、プロに依頼しましょう。

アウトドアで火事になりそうになったら

アウトドアでバーベキュー焚き火火の粉が飛んでしまったり、枯れ葉に燃え移った場合はすぐに消防車を呼びます。

アウトドアで火事になりそうになったら
思いも寄らないことで炎が広がる
アウトドア火事の例
  • たき火や炭火の消火不良
  • 着火剤への引火
  • 花火ゴミの不始末
  • バーベキューの肉汁引火
  • スマホなどへの直射日光
  • カセットコンロの不適切な使用

枯れ草に引火したあと、微風であっても燃え広がるのは一瞬です。山火事となると報道されるほどの災害となり、もちろん出火原因を作ってしまった人が責任を問われます。

山火事となった場合は、近隣住民の避難、事業として植林されたスギやヒノキなど樹木の賠償金だけでなく、その地域にしか生息しない希少動物を絶滅させることもあります。

アウトドアで山火事になりそうになったら、すぐに消防へ連絡、キャンプ場の管理者へ連絡します。屋外の火事は、消化するための水源も少なく、燃えるものや酸素は豊富なので、数人の一般人だけでは対処できません。通報したら、周囲の人に大声で「火事です!火事です!」と叫んだあと、自分自身もすぐに風上へ避難しましょう。

職場などビル内で火事になったら

職場や買い物先のビルで火災が発生したら、とにかくビルの外に出ることだけを考えてください。高さが低いなら、窓から飛び降りることも有効な場合があります。少なくとも、下階が発火場所でないなら必ず1階をめざします

職場などビル内で火事になったら
ビル火災では避難経路が重要

平成13年に起こった歌舞伎町のビル火災をご存知でしょうか。ビルは防火設備が整っているはずですが、多くの犠牲者が出た火災として、消防関係者なら知らない人はいないと思います。犠牲者が増えた主な原因は、避難口が1箇所しかなかったこと、避難通路にいつも業務用の荷物があったことです。

ほとんどのビルでは、避難経路が2つ以上は確保されているはずですが、非常階段は業務用の荷物を仮置きする場所として使用されがちです。

非常階段の実情
非常階段には何も置いてはならない

消防検査で、通路の荷物を片付けたり、廊下のポスターを外した経験がある読者も多いと思います。避難すべき通路が狭くなっていたり、延焼するようなもの(ダンボールやポスターなど)が常時ある場合は、避難経路として使えません。

勤務先で「整理・整頓」が叫ばれているのは、無駄な経費の削減だけでなく、人命救助の観点からも非常に重要だからです。

職場のビル内で火災が発生したら、どの通路で逃げるべきかを一度は考えておきましょう。また、発火場所によっては、ビルの正面でなく裏手のほうが安全な場合もありますので、避難通路は複数知っておきましょう。

また、できるなら消火器のある場所、消火栓のある場所も思い出せるようにしておきましょう。

ショッピングモールや映画館での避難
安全対策は最高レベルだが人の流れに注意が必要

ショッピングモールなどで火災が発生した場合は、他の客のパニック行動に惑わされないように、まず冷静に状況を把握することが最優先です。

パニックになった集団には勝つことができません。目の前まで炎が見えていないときは、できるだけ、柱の陰や店舗の入り口など、人の流れを受けないスペースで状況を見ましょう。転倒により階段やエスカレーターでの事故につながる可能性があります。

人の流れがエスカレーターに集中しているようなら、非常階段へ向かったり、渡り廊下を通って隣のビルへ移動してから1階を目指すなど、冷静に対応しましょう。

また、大型施設ならば天井に避難誘導標識や避難誘導灯が点灯するので、落ち着いた場所で天井を見上げると逃げるべき先がよく見えます。まず、冷静になりましょう。

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