避難所生活は、見知らぬ人との共同生活であるため想像以上のストレスを感じます。ストレスのほとんどが騒音です。案外必要な避難グッズは耳栓代わりのイヤホンということは知られていません。
その他、避難所生活でストレスを溜めないためのノウハウを紹介します。
避難所は自分で災害別に決めておく
避難所は、市区町村の職員が学校の体育館や公民館などに開設します。避難所ごとに収容想定人数が計画されており、必要な数量の備蓄があります。
避難所は市区町村の災害計画で設定されています。学校の体育館や公民館などに、避難者1,000人から2,000人程度を想定して、なるべく避難距離が短くなるように設定しています。
自分がどの避難所に行けばいいか、なんとなくわかっているつもりになっていないか、次の項目をチェックしてください。
- 最寄りの避難所を知っている
- 最寄りの避難所は河川のそば
- 最寄りの避難所の裏が崖
- 避難所経路にアンダーパスあり
避難所は距離と収容人数を基準に設定しているため、河川氾濫危険区域内にある避難所や、土砂災害警戒区域内に設定されている場合があります。
事前にハザードマップで避難所がどんな災害に対応できそうかを自分自身で決めておきましょう。
避難所での避難方法を検討する
避難所生活は、広い空間で数百人、数千人が共同生活することとなります。また、消灯することもなく、常時誰かが歩いていたり、会話していることが24時間続きます。静寂は1秒たりとも訪れません。
このような状況下で、乳幼児を連れた避難は親子ともに相当なストレスとなります。生活空間を分けられる車中泊が最適です。できれば、子どもたちが安心して寝られるよう、他の車中泊避難している家族とも距離をとっておきましょう。
他の車中泊でトラブルになるのはアイドリング音や、ドア開閉の電子音、車内外のライトなど。距離を取ることができない場合でも、車がお互いに正面になることを避けておくとライトや互いの視線が気にならなくなります。
一方、車中泊避難は指定された避難所でしかできない場合があります。駐車場として学校のグラウンドを使用することがありますが、台風の場合はグランドが浸水するため、車から降りられず実質的に使い物にならないのです。
また、ペットと避難する場合は、ペット専用の携行ゲージが必要です。避難所では、体育館の入口などに専用スペースを設けてゲージを置かなければならず、体育館内には連れてゆくことはできません。
ペットは怖がる人や赤ちゃんがいるだけでなく、アレルギーのある人にとっては可愛くてもじんましんの発生、最悪の場合は呼吸困難になる場合もあります。できればペットと避難する場合は車中泊避難を検討ください。
介護者との避難が必要な場合は、通常の避難所では対応できないことがあります。人工透析などが必要な人との避難は、医療ケアが可能な避難所を平常時に確認しておきましょう。
避難所生活に必須の準備とは
市区町村や避難所によって、避難生活は大きく変わります。防災に予算を投資している自治体なら相当行き届いていますので、必要以上の防災グッズを持っていくのは非効率です。何が必要かの見極めが必要です。
相当行き届いている避難所には、無停電装置の配備、災害用マンホールトイレの整備、シャワー設備、雨水ろ過器による中水(上水と下水の間の水質で、トイレ用水などに使用)利用や、ベンチ下に炊き出し用コンロが設置されています。
生活用品も、ダンボールを使った目隠し壁(パーテーション)やベッドがあったり、十分な毛布や冷暖房、備蓄水や食料、乳児用液体ミルク、生理用品、や無料の自動販売機が設置されていることもあります。
しかし、ほとんどの自治体ではここまでの設備投資は困難です。
一般的な避難所は、体育館にビニールシートが引かれただけ、冷暖房なし、エリア分けは3m四方のブルーシート、薄手の毛布、少量の食料、使用できなくなっているトイレ、夏場は出入り口が空いているので虫も入ってきます。電源も1,000人分のスマホを充電できるようなコンセントもありません。
キャンプに慣れている大人だけで避難するならば十分ですが、腰痛のある高齢者や、乳幼児とともに暮らすのは自他ともに相当なストレスがあります。せめて、数日分のパンやカップ麺、枕になるバスタオル、耳栓代わりのイヤホンなどは持参してください、安眠することができます。
避難所で発生するトラブルは?
避難所で発生するトラブルの代表例を挙げます。トラブル対象のほとんどは、他の避難者とのプライバシー侵害問題です。
- 乳幼児の泣き声や笑い声
- 高齢者同士の大声での長話
- 荷物が散乱している
- 音楽が漏れて聞こえる
- 金品の紛失・盗難
- 性犯罪
- 誤解などによる口論
- 車中泊車のライト
- 車中泊車のアイドリング
トラブルの多くが「騒音」といえます。高齢者のいびきがうるさい、若者の歩く足音がうるさい、子供が遊び回って眠れないといったものなど、それそれが気にすれば問題にならないようなことが発生します。
トラブルが発生する前に、職員へ伝えて少し離れたスペースへ移動しましょう。大きな体育館なら2階の観客席に移動してしまうというのも静かでおすすめです。
避難所の備蓄はなにがあるのか?
どの避難所に何が備蓄されているのかは、市区町村の防災計画書に書かれています。詳細に知りたい場合は、ホームページで見ることができるほか、役所で見ることもできます。
避難所に備蓄されているスタンダードなものは次のようなものです。
- 飲料水(500ml)ペットボトル
- カンパンなどの非常食
- 無洗米(アルファ米など)
- 毛布(薄手タイプ)
- 防寒シート
- 乳児用ミルク
- 紙おむつ
- 生理用品
- マスク
上記のものは、ほとんどの避難所で備蓄されています。飲料水は1人あたり2本は行き当たる数量が置かれています。なお、備蓄数は約3日分となっており、4日後からは国の支援が届くという想定になっています。
上記のようなものは持参する必要がないので、余裕のない避難時はその他のものだけを持参します。
避難所にないけれど必須のもちものは?
避難所にないものの中でも、下記のものだけは持参必須です。
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- 処方されている薬
- メガネやコンタクト
- 着替えやタオル
- 健康保険証
- ポケットティッシュ
- イヤフォン
- ボールペン
その他、避難時に余裕があるなら次のものも持参してください。
- 使い捨てカイロ
- 冷却シート
- スリッパ
- 傘
- ビニール袋
- 汗ふきシート
- ソーラーバッテリー
詳細は別記事で解説しますが、ビニール袋はゴミ袋やエチケット袋、簡易トイレなど使用頻度が高いので100均などで1袋買っておき、非常用リュックに入れておきましょう。ビニール袋の色は黒色がおすすめです。