雪崩(なだれ)は、降り積もった雪が自分の重さで圧力をかけてしまい、水の層を作り出すことで発生する災害です。
積雪が続いたり、いったん陽気があったあとに積雪すると危険性が増します。登山家やスキーヤー、スノーボーダーは最低限の知識をもってアウトドアを楽しんでください。
冬山の遊びをするなら雪崩の基礎知識は必須
雪は、車中泊による一酸化中毒、車内閉じ込め、スピン、崖からの転落など車に関連する危険が多い災害です。
一方で、スキーやスノーボードなど雪があってこその楽しみがあるのも事実。一人でも、家族でも、仲間内でも、必ず安全に帰ることができるよう、あなた自身が防災知識を持ち、リードしてください。
わたしは冬の釣りが趣味で、毎週のように雪山に車で出かけます。実際に小さな雪崩なら何度も目にしたことがあります。
雪崩が発生しやすい気象条件を知る
雪崩が発生しやすい気象条件は主に次の2点です。
- 積雪のあとに新雪が降り積もる場合
- パウダースノーではない雪の積雪
降り積もったあとに新雪が降ると雪崩の危険性が高まる「表層雪崩」
雪が降り積もったあとに、雨や少しの陽気で積雪表面が凍ることがあります。この上に新雪が降り積もると、凍った層の上の積雪が雪崩を起こします。これを表層雪崩といいます。
気象条件は、積雪後の天候変化(雨や小春日和)のあとに新雪が降り積もっているかどうかがヒントになります。
パウダースノーでない雪の積雪による「全層雪崩」
粉のような雪をパウダースノーと呼びますが、ザラザラして雪の結晶が目で見えるような雪もあります。
このような雪が降り積もると、雪自身の重さで地面との間が溶けてしまい、雪崩が発生します。
しかし、全層雪崩は、表層雪崩とは違い地面との境目が滑るため、荒れた山肌にある大きな石や木などが雪に混ざって襲ってきます。雪に埋まるだけでなく、石や木による負傷もあります。
雪崩のきっかけと予兆
雪崩の予兆として知られているのは次の3種類です。常に周囲を見回して予兆を見逃さないようにすることが最大の防災行動です。
雪崩の3大予兆
- 雪の亀裂で山肌が見える
- 雪玉が頻発する
- 雪肌が大きく波打っている
雪の亀裂があり、山肌が見えているのは全層雪崩の予兆
山肌が見えている場合は、すでに全層雪崩が始まっているあらわれです。
雪玉が頻繁に転がってくるのは表層雪崩の恐れアリ
雪山を登っていると、テニスボール大の雪玉が転がってくることがあります。
枯れ木に積もった雪が、重みで積雪の上に落ちて発生することが多いですが、頻繁に雪玉が転がってくる場合があります。
多くの雪玉が転がってくるときは、雪自身が自分の重みに耐えられないような強風や陽気(気温上昇)が発生していると考えられます。
じっとしていなければ気づきにくい現象ですが、見かけたら「避難しなければ危険かも」と考えを巡らせてください。
雪肌が大きく波打っている場合も注意
積雪の表面が砂漠のように波打っている程度なら、寒風によるものです。
雪崩の予兆として注意しておきたいのは、明らかに波打つように積雪の厚みが違う状態です。
経験がないと分かりづらいかもしれませんので、暇つぶしでもYouTubeなどで雪崩の動画をいくつか見ておくことをおすすめします。
雪崩は雪だけでなく石なども降ってくる
雪崩は雪に埋もれるだけではありません。全層雪崩の場合、山肌を削り取りながら雪が降りてくるため、雪には石や灌木などが混ざっています。
頭部に3kgほどの石があたった場合は、そのまま命を失う可能性はもちろん、雪の中で気絶することは避けなければなりません。
滑落も注意
大きな雪崩だけでなく、少量の雪崩が発生するときがあります。
少しだけ崖のようになっている下の道を通行していると、上から雪が落ちてきて驚くことがあります。
局地的に小さな雪崩が発生したとき、あなたが川のそばを歩いている、車で走行している場合は雪に押されて崖下や川へ押し流される場合があります。