防災に有効な非常用電源「ポータブル電源」選び

防災的ポータブル電源のおすすめ

ポータブル電源は暖房器具の使用にはもちろん、避難時の電源確保はスマホの充電や電灯、調理にも使用できる非常に重要な防災器具。

この記事では防災的視点に有効と考えるポータブル電源(ポータブルバッテリー)を紹介します。

非常用電源を防災視点で選ぶ
目次

大地震は冬に集中、暖房器具を使うために非常用電源の確保を

令和6年元旦の珠洲市内
令和6年元旦発生の能登半島地震(石川県HP掲載広報用画像)

阪神・淡路大震災(1月)、東日本大震災(3月)、能登半島地震(1月)と、日本の大地震は、なぜか気温が低い季節に発生しています(熊本地震は4月発生)。

雪の残る町を避難所まで歩くことはもちろん、避難中の暖房問題は事前準備ができていなければどうすることもできません。

暖房器具といえばエアコン、電気ストーブ、ガスファンヒーター、オイルヒーターなどがありますが、コンセントを使う暖房器具は停電すれば使えなくなります。一方、電気を使わない石油ストーブは灯油不足、車の暖房もガソリン不足で使えなくなる事例もありました。逆に考えると、電気さえあれば使える冷暖房なら、非常用電源の確保さえできれば解決できます。

しかし、蓄電池設備やポータブルバッテリーは種類が多すぎてなかなか選べないという人も多いのが現状です。今回は防災的視点、かつ初めて購入する場合を想定してポータブルバッテリー選びのポイントをお伝えします。

停電の困りごとレベルで対策する非常電源の量は変わる

地震では電柱の倒壊、台風や大雪では電線の断線で停電が発生しやすくなります。まずは、災害時に対策必須の電力と、対策不可能な電力に分類しておきます。

災害に停電対策は重要

電気のない生活など考えられませんが、災害は容赦なく停電を発生させます。停電になって困るものをレベル別にまとめると次のようなものが挙げられます。

停電で困る(レベル高)
  • 電灯がつかない
  • スマホの充電ができない
  • 自宅のインターネットが使えない(Wi-Fi、有線LANどちらも)
  • テレビが見られない
  • エアコンなど冷暖房器具が使えない
  • マンションの場合断水になる場合がある

マンションの場合断水になる」のは、水道管から直接水が供給されている一般家庭とは違い、マンションや病院、学校など大量の水を使用する施設では「受水槽」という大型タンクに水をためておき、電動ポンプで建物内に圧送しているためです。

停電してしまうと電動ポンプが止まるので、屋上に受水槽があるようなタイプでない限り給水ができなくなります。もちろん、屋上に受水槽があっても受水槽へ電動ポンプで圧送している場合は、受水槽が空になったらそれ以上は水道は出ません。

非常用電源が必須の病院

病院では、水や電力がないと手術などの医療行為ができくなるので、自己発電装置や非常電源設備(無停電装置・UPS電源)で電力を確保しています。もちろん受水槽に溜まっている水は使うことができます。

一般家庭では手術のような緊急事態がないとしても、電力ゼロでは冷暖房、情報収集もままなりません。最低限の電力確保のため、近年は太陽光パネルと蓄電池を使った一戸建て住宅が災害時だけでなく節電目的もあって非常に人気が高まっています。

筆者自身も自宅に太陽光パネルを設置しています。停電時でも通常と同様の電力消費量ならば連続8時間近く使用できるようにしています。節電すれば1週間は問題ないと考えています。

停電で困る(レベル中)
  • 電気調理器具が使えない
  • 冷凍庫の食料が溶ける
  • 電動式のトイレ設備が使えない
  • 電気自動車や電動自転車の充電
  • 街灯が消える

真夏の停電で「冷凍庫の食材が溶ける」ことがあります。クーラーバッグでは冷凍食品をそのまま保管し続けるのは限界があります。

また、移動手段である電動自動車や電動アシスト自転車も、充電できなければ動かすことも困難です。

停電で困る(レベル低)
  • 電動のセキュリティが使えない
  • 自動ドアが開かない
  • 給湯器が使えない(着火しない)
  • レジや冷蔵設備が止まるためスーパーコンビニが営業しなくなる
  • 道路の信号が消える
停電時にはコンビニのレジも動かなくなる

街中が停電しているため電動であるレジは動きません。電子決済やクレジットカードも使えません。なにより自動ドアも動かない、冷蔵・冷凍庫も止まるのでコンビニやスーパーは営業不能となり、食料の買い出しが非常に困難になります。

停電が発生すると、さまざまなレベルの困難が同時に発生します。

あなた自身で電力確保するならば、ご自身にあったポータブル電源選びができるように、いくつかの知識を身に着けておく必要があります。以下、基本的な重要ポイントだけを解説します。

非常用電源(ポタ電)購入の必須知識

近年大人気となっている非常用電源(ポータブル電源、通称「ポタ電」)は、10万円前後のアイテムが主流。

性能や特徴が様々でありながら10年以上使用する耐久消耗品で、車やバイクの購入に近い判断が必要です。

非常用電源(ポタ電)の特徴
  • 10年から15年程度使える
  • 10万円前後の商品が多い
  • 性能に大きな差がある

たとえば、自動車の購入を200百万円代で検討するとしましょう。安めのセダン、ワンボックス、ハイグレードな軽自動車など、同じ価格帯でも性能使用目的はバラバラです。

選ぶためには、あなたの生活上で必要な電気製品はなにかを中心に考えてください。高くて大きなポタ電がベストな選択とは言えないからです。

ポータブル電源の比較すべきポイント

ポータブル電源の比較ポイントは次の3点が基本です。

非常用電源(ポタ電)の比較ポイント
  • 定格電力(W・ワット数)
  • 電力容量(Wh・ワットアワー)
  • 重量(kg・キログラム)

上記のほか、充電速度や常時充電対応かなども比較ポイントですが、防災的視点では重要度を下げてお話します。

防災的非常用電源(ポータブル電源)の重要ポイントは持ち運べること

ポータブル電源は大きく3用途に分類することができます。

ポータブル電源の使い道
  • 節電向け
  • アウトドア向け
  • 非常電源向け

節電向けポータブル電源

住宅設備の蓄電池のように、ソーラーパネルで発電した電気や、割引料金となる深夜の電力を常時蓄電しておくタイプです。ポータブル電源として販売されていますが、実際は30kg以上もあるような重量級のものが主流です。

このタイプのポタ電は、自宅避難には有効で、普段遣いすることで常に満充電となっていることがおすすめポイントです。

デメリットとしては、高額(20万円を超えるものもある)であることと、避難時に屋外へ持ち出すのは高齢者や女性、子どもでは不可能ということです。

蓄電池設備(300万円前後)に比べれば安いかもしれませんが、蓄電池設備ほどの電力量はありません。

アウトドア向けポータブル電源

とにかく軽さとタフさを中心に作られており、車のシガーソケットからの給電(充電)がついているものがほとんどです。車中泊避難を前提に考えている方にはおすすめです。

デメリットとしては、省電力でいいアウトドア遊びでは、それほど大きな電力容量が必要ありません。そのため、超大型のモバイルバッテリーレベルの性能で、価格を低めに抑えています。

長期にわたる避難生活には、やや不足があると言えます。

非常電源向けポータブルバッテリー(防災的におすすめなもの)

前述した「節電向け」と「アウトドア向け」の中間に当たる性能のポータブル電源が非常電源向けと言えます。

実際は「非常電源向け」というポータブル電源はなく、自分で「これくらいのがいいかな?」と決める必要があります。非常電源として役立つポータブル電源のポイントはズバリ「軽くて電力容量の大きいもの」です。

避難時には、防災リュックとポータブル電源を持って避難所へ向かうこととなります。1kgでも軽いほうが有利であることは間違いありません。

また、コンセントがあり、USBソケットがあるものが必須条件となります。

軽いポータブルバッテリーは電力容量が少なくなりがちですが、ソーラーパネルとセットで購入しておくと、昼間は補充電ができるのでデメリットの解消になります。

下の写真は広告ですが、こういった持ち運べるソーラーパネルセットが販売されています。

通称「ポタ電」の選び方は使い方によっておすすめ度が違う

あなたは一人暮らしの若者でしょうか?

子育て世代の世帯主でしょうか?

高齢夫婦2人ぐらしでしょうか?

避難時に必要となる電気設備は、家族構成や年令によって千差万別です。

避難時に必要となる電化製品をランダムに上げてみますと以下のようになります。

避難所時に使いたい電化製品の例
  • スマホ
  • 補聴器
  • 扇風機
  • 電灯
  • 電気ポット
  • 電気毛布
  • 電子レンジ
  • 電気ストーブ

お気づきでしょうか?

ランダムに、先程の家族構成で必要な電化製品をピックアップしましたが、初めに挙げたものほどUSB電源で使用できる超省電力の電化製品で、後になるほど電力量が大きくなるようにならべています。

一人暮らし用のシンプルな電子レンジなら500W程度、電気ストーブなら1,200W程度の電力が必要です。

実際に使用するときは、「定格◯◯W」と書かれている家電製品の2倍の出力ができるポータブル電源を選ぶ必要があります。

例)600Wの電子レンジを使いたい場合は、定格1,200Wのポタ電の購入が必要です

電化製品は、スイッチオンした瞬間に約2倍の電力が必要ですので、ポータブル電源の「定格電力量」が使いたい家電の2倍以上あるものを選んでください。

ただし、「最大出力◯◯W」と書かれているポタ電の場合は、その範囲内のものが使えます。

防災用電源の必須能力は軽さ

前述の通り、避難所へ持ち運ぶポタ電が重いのは、たとえ電力容量が多くて充電スピードが早くてもデメリットでしかありません。

当サイトとしておすすめしたいのは軽くソーラーパネルがセット販売されているポータブル電源です。

まとめ〜ポータブル電源は消耗品

前述した通り、ポータブル電源は長期間使用するものですが、消耗品です。

買い替える頃には、現在より高性能で安価なものが新発売されていると思います。

いま、私達が選ぶべき防災的ポータブル電源は、軽くて安いものがベストです。

長くても15年後には買い替える必要があります。エアコンや冷蔵庫等と同じように、いまのあなたの家族構成や生活に必要十分なスペックのポータブル電源を選んでください。

決して「大容量だから」や「普段遣いしたいから」といった考えではなく、

  • 非常時に持ち出せるか
  • ソーラーパネルで補充電できるか

をポイントに選択してみてください。

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