「北海道・三陸沖後発地震注意報」が気象庁から発令されることとなりました。後発地震に関する注意報としては日本初の正式な注意報として2022年12月から運用開始となった地震の予測的注意報です。
巨大地震といえば、南海トラフ地震が長期間にわたって注目されていましたが、過去の発生周期にや地層のズレなどの観測に基づいた長期的な注意喚起にとどまっています。
「後発地震注意報」とは?
後発地震注意報とは、北海道沖の千島海溝と三陸沖の日本海溝付近でM7(マグニチュード)クラスの地震が発生したとき、数時間後により大きな地震が発生したという過去の記録を教訓にした地震注意報です。
過去にM7クラスの地震の数時間後、M8やM10クラスの大地震が発生した記録を元に、気象庁が2022年12月から注意報発令の運用をしているものです。
大きな先発地震の数時間後に更に大きな後発地震が発生することを知らせるものではなく、過去の記録に基づいた注意報でしかありません。
ただ、余震は小さくなっていくだろうという思い込みは厳禁と考えておきましょう。
北海道と三陸沖にだけに発令される理由は?
熊本地震でも、先発地震より大きな後発地震が発生したことは有名です。
しかし、北海道・三陸沖エリアのように数回観測されているエリアがほぼ無いこと、海溝に沈み込む海洋プレートに起因する地震であるため関連性が高いことなどからこのエリアに絞ったと思われます。
地震速報との違いは?
後発地震注意報の目的は注意喚起であり、すでに震源で発生した地震の到達を知らせる地震速報とは別のものです。言いかえれば、先発地震のあとに、後発地震が発生したとき、もういちど緊急地震速報があるといったものです。
緊急地震速報は、日本中にある地震観測地点の震度計などの情報をもとに、震源から地表面へ振動が伝わってくることを伝えるものです。原則として必ず直後に地震が発生します。
後発地震注意報は、なんら地震に関する計測がなくとも、過去の地震記録を元に発出される注意報です。すぐに身を守る行動を取るようなものではありません。
想定される被害規模は?
気象庁の発表によれば、M7クラスの巨大地震のあとにM8からM9クラスの巨大地震の発生が想定されています。
- 最大津波の高さは30m
- 最大死者約19万9千人
- 低体温症のリスク
上記のようなリスクを回避するために、後発地震注意報の運用がされています。
後発地震注意報が発令されたら何をすればいい?
後発地震注意報が発令されたということは、すでにM7クラスの大地震が発生した直後ということです。
後発地震のほうが震度が強いという注意報なので、その場で身をかがめるのではなく、移動しなければなりません。
- 津波を想定して移動する
- 堅牢な建物に避難する
- 火を消し避難所へ移動
移動中に緊急地震速報があった場合でも、津波被害の心配がないエリアや高い建物までは逃げ続けてください。
後発地震注意報に限らず地震への備えをしておく
後発地震注意報は、M7クラスの大地震の後に発令されるものです。先発地震ですら相当な被害が想定されます。
後発地震に限らず、地震大国日本に住んでいるわたし達にとっては、地震も自然現象のひとつとして「発生する前提」で防災の備えをしておくことが大切になります。