河川氾濫は、一瞬で街を浸水させる災害です。都市型浸水(内水浸水)より広範囲であること、水深が深いことを踏まえて、早めに避難を決断し、より高い場所またはより遠くへ避難することが重要です。
河川氾濫情報はどのタイミングで避難すればいいのか
河川氾濫情報は、国土交通省のホームページだけでなく、あなたが住んでいる市区町村の防災メールや公式LINEで随時発信されています。氾濫危険水域に達すると、加速度的に河川氾濫へ向かうため、危険度レベル3時点では逃げ始めます。
河川の水位は、氾濫危険水位(レベル3)になると急速に推移が上昇します。本来流れる下流側も水位が上がり、上流から遅れて到達した雨水が滞留するためです。
堤防が決壊すると、一気に街が浸水します。同時に道路冠水も進行しているため、避難できません。レベル3の段階で早急に避難行動を始めなければ、自宅で救助を待つことになります。
「これぐらいならなんとかなるかも」ではなく「早めだけどなんとかする」という意思決定が必要です。特に、河川堤防付近に住んでいる場合や、近くの農業小屋に船が吊るされているような地域では、過去に河川氾濫の実績があるはずです。
河川氾濫前に避難するためには
河川氾濫前に避難するためには、避難時に持ち出すものをまとめておくことが鉄則です。いざ避難しようと思ってから準備していては確実に避難できない状況になっています。
洪水時に持ち出すべき避難グッズ一覧
避難の必要がありそうだと思ったら、すぐに次のものをリュックに入れておきましょう。
- 免許証
- 健康保険証
- マイナンバーカード
- 現金やキャッシュカード
- クレジットカード
- モバイルバッテリー
- タオル
- 最低限の衣類
- 常用薬
- 生理用品
- マスク
- コンタクト
- 筆記用具
リュックに詰めるものは、できるだけジップロックなどの防水可能な袋に入れておきます。衛生的ですし、豪雨に見舞われても濡れずに済みます。
乳児とともに避難する場合は、哺乳瓶、粉ミルクとお湯を忘れずに。避難所では粉ミルクも備蓄されているので、2日分程度あればしのげます。
避難方法は徒歩か、車かどちらが安全なのかはケースバイケース
河川氾濫時の避難は、高い建物の上階への避難(垂直避難)か、河川から可能な限り遠く避難(水平避難)のいずれかを選択します。
車避難によるリスク
車による避難は、多くの荷物が積める、家族を一度に運べる、浸水想定エリアからの脱出などメリットが大きい反面、道路に土砂や樹木があって進めない、橋が崩落しているといったリスクがあります。また、冠水している道路で車のエンジンが浸水し故障してしまうことも少なくありません。
- 道路が通行不能になっている
- マンホールがずれている場合がある
- 走行不能になった車で渋滞している
- 自車が走行不能になる
徒歩避難によるリスク
徒歩による避難では、車のように故障や渋滞などのリスクがない反面、幼い子供や高齢者を連れて歩くといったリスクと、避難所へ着くまでに時間がかかるデメリットがあります。
- 乳幼児や高齢者との避難が困難
- 防災グッズの運搬が困難
- 移動に時間がかかる
- 避難中は暴風雨にさらされる
徒歩と車のデメリットを十分把握した上で、あなたにとってリスクの少ない避難方法を選択しておきましょう。道路冠水が進むと道路状況がわからない道を進むことになるので、早めの避難が安全性を高めます。
早く避難して損をすることは何もありません。避難訓練のつもりで、一度は避難所に行ってみましょう。
どこに避難すればいいのか
避難所は、地震と共用になっているため浸水想定エリア内にも設定されています。河川氾濫の場合、最寄りの避難所が浸水エリアなら避難できません。洪水ハザードマップをきちんと読み込んで、河川氾濫時でも避難できる避難所を確認しておきましょう。
- 洪水時も浸水しない避難場所
- できるだけ大きな避難所
- 車中泊が可能な避難所
垂直避難の場合も、あなたの自宅が何メートルの水深になるかを確認しましょう。20メートルレベルなら、3階建てでも自宅避難はできません。最寄りの高いマンションや、24時間営業の施設(ボウリング場など)の立体駐車場、もしくは想定浸水が0.3メートル以下のエリアを把握しておき、車で移動することを想定しておきましょう。
昨年洪水被害があったばかりのエリアに住んでいるなら、河川改修が完了していないことも考えられます。このような場合は、ホテルなどに避難しておくという方法も検討しなければなりません。
洪水時の自宅避難は安全か
洪水時に自宅避難できるのは、想定浸水が3メートル程度までと考えましょう。2階に避難するとしても、停電はまぬがれません。また、トイレも使用できなくなる上に、食材の確保は不可能です。
脱出するには自衛隊などの救命ボートを待つしかなく、自力での脱出は不可能。原則として、河川氾濫(外水浸水)から逃れるためには、自宅避難は選択しません。
自宅避難が選択できるのは都市型浸水(内水氾濫)に限ります。