ペットとの避難所生活には事前の準備が欠かせません。ペットは家族同然ですが、人間のように避難行動を言葉で説明することができないため、必ず飼い主が必要最低限の準備をしておかなくてはなりません。
ペットと一緒の避難方法で個人的におすすめしているのは、車での避難です。荷物が運べること、ペットのプライベート空間が必ず確保できるからです。
車中泊避難については記事の後半で詳しくお話します。
ペット防災の重要な準備ポイントは2つ
ペットの防災準備で重要なポイントは次の2点です。
- ペットを連れてゆく準備
- ペットの備蓄品を準備
今回はペットの中でもイヌとネコに絞って解説します。
ペットと一緒に避難する準備
ペットと避難するために必須の条件があります。携行ゲージに入れることです。
雷や地震の直後にはペットは恐怖心でいっぱいです。携行ゲージに入れようとすると暴れたり、怖がったりしてしまうのは自然なこと。しかし、大型犬以外は携行ゲージに入れなければ避難所まで連れて行けません。
まずは、携行ゲージに入る訓練が必要です。
災害に備えて日頃からペット用携行ゲージを遊び場にしておく
小型犬やネコの場合、ペットショップやホームセンターなどで売っている携行ゲージが自宅にあると思います。携行ゲージはペットにとって「動物病院に連れて行かれる」という恐怖心があると思います。
ゲージには、ペットシートを敷いておき、扉も開放して遊び場のようにしておくことをおすすめします。
恐怖心があるようでは、災害時にすんなりと入ってくれるはずがありません。解決方法としては、常に部屋においておいて、毎日必ず目に入るようにしておくことです。
ペットのお気に入りグッズを避難用ゲージに入れる
避難所ではゲージから出すことができないので、ペットの臭いがついたタオルやブランケットなどを入れておいて安心できる材料をそろえておいてあげます。
ペットとの避難にはリュック型の携行ゲージが便利
ペットとの避難には、断然リュック型のペットゲージをおすすめします。
避難するとき、避難グッズを持っていたり、子供の手を引いていることもあります。できれば両手が空いている方が安心です。
ペットとの避難を考えるなら、リュック型のペットゲージを選択して下さい。すでに携行ゲージがあるなら、自分の避難グッズはすべてリュックに詰め込むようにしましょう。
最近はリュック型の携行ゲージも種類が豊富です。ネコや小型犬なら活用できます。
アマゾンや楽天などでも様々な種類があります。数千円で手に入りますので検討してみてください。
リュック型の素材は柔らかいので、老犬や老猫、子犬や子猫ならプラスティックの携行ゲージより体への負担も少なくなります。
ペットのための備蓄品をそろえておく
人間の場合は防災士セレクトの防災グッズセットなどが販売されていますが、ペット専用のものは見当たりません。ペットと一言でいっても、年齢やイヌかネコかなどで必要な備蓄品が違うからです。
ご自身のペットに必要不可欠な備蓄品をそろえておきましょう。代表的なペット避難準備を紹介します。
ペットの防災非常食としてアルミパウチのフードを携行ゲージに入れておく
ドライフードも良いのですが、できればアルミパウチのウェットフードを防災用に準備しておいて下さい。ペットは緊張状態になるとドライフードよりウェットフードのほうが食欲がでます。
また、断水状態の場合は水分補給が難しいため、ウェットフードがおすすめです。
アルミパウチになっているタイプのものは、半年から2年程度保管ができます。つねにペット用の備蓄品バックに、アルミパウチを12食分ほど入れておいて下さい。大災害の場合、最低3日分は必要です。
半年や1年ごと、人間の防災リュック整理と一緒に、消費期限が短くなった非常食を入れ替える日をスマホのカレンダーに入れておき、通知されるようにしておくと忘れずに入れ替えできます。
避難所にペットのお気に入りのタオルやおもちゃを持っていく
ペットと避難所へ向かうとき、ぜひいつも遊んでいるペット用おもちゃ、においの付いたタオルなどを携行ゲージの中に入れておいてあげてください。
残念ながら、避難所ではペットと一緒に中まで入ることができません。避難者の中には、恐怖感を感じる赤ちゃんや、喘息(ぜんそく)のあるお子さん、アレルギーのある人、どうしてもペットを連れてこれなかった避難者など、様々な理由でペットのそばにいられない人が多数います。
ペットは通常、避難所の玄関スペースなどに専用スペースが作られます。
お世話はペット専用スペースでしかできません。また、散歩のときや排泄のとき以外はゲージから出すことができない自治体もあります。
ペットがゲージで待っているとき、安心できるように「いつもの」おもちゃ、タオルなどをゲージに入れておいてあげて下さい。
また、厚手のブランケットを持っていけるなら、ゲージにかけて薄暗くしてあげると安心できます。ブランケットにこだわるのは、少しだけ周囲の雑音を吸収してくれるからです。
避難時にはペットシーツ必須
イヌの場合は、散歩の途中で排泄できます(排泄物は回収が必要です)。ネコの場合は散歩という習慣がないので、どこかでトイレできるようにしないといけません。
野良猫なら公園の砂場などにしますが、家ネコの場合は慣れない場所で他のネコのにおいがすると排泄は困難です。できるだけ、ゲージの中や段ボール箱のなかにペットシーツを敷いて、トイレができるようにしてあげて下さい。
ゲージでもトイレできるような場合は、使い捨て吸収パッドのペットシーツか、ペット用の紙おむつを数枚準備しておきます。
《amazonリンク》ペット専用の紙おむつの例
避難所生活のためにネコもリード(ハーネス)を用意しておく
イヌはもちろん、ネコも散歩させてあげるとトイレをゲージでしなくても済みます。
ネコと散歩するときは、小型犬用の胸あて付きリードがあると便利です。イヌと同様に避難所の外を散歩することができます。
わが家では、アマゾンで2,000円程度のネコ用ハーネスを購入して、ベランダなどの狭い場所で練習しています。上の画像は私が購入して使っているものですが、ほかにも数多くの種類があります。
《PR》ネコ・小型犬用ハーネス
ハーネスは胸あたりを包み込み、背中に引っ張るひもがつけられるので、首がしまるといった心配がなく安心です。取り付けも、プラスティックのフックとマジックテープなので、軽く、暑さや寒さにも関係なく使用できます。
ペットシーツを避難所でも捨てられるようにごみ袋を用意しておく
ペットシーツや開封後のアルミパウチは、夏場の避難所では相当なにおいを発します。コンビニやスーパーでもらう袋をゴミ袋として必ず避難袋に入れておきましょう。
ごみ袋は、においがしないように結ぶコツがあります。袋の口を、くるくるねじってから軽く結んでおきます。次に開けるまで、においが外に漏れることがなく、自分も周囲も気にならなくておすすめです。
ペットとの避難は車中泊がおすすめ
ペットは周囲のざわつきにとても敏感です。つねに「攻撃されないか」と気を張り続けるのは見ているだけでもとてもつらくなります。できれば周りの音が聞こえづらく、他の動物や避難者の声が聞こえない車中泊避難を検討下さい。
ペットとの車中泊避難はメリットが多い
車中泊避難がペットの健康を守ります。車中泊のメリットを簡単に挙げるだけでも次のようなものがあります。
- ペットが濡れない
- ペットフードを運べる
- ゲージから出せる
- トイレが設置できる
- ペットが鳴いても迷惑にならない
- ペットと一緒に過ごせる
特に「ペットと一緒に過ごせる」メリットは、ペット本人だけでなく、飼い主の心も癒やしてくれる大きなメリットです。軽自動車でも十分なメリットがあります。
ぜひハザードマップや市区町村のホームページで「車中泊避難ができる避難所」を確認しておいて下さい。
なお、車中泊避難のポイントは「台風前にはガソリンを満タンにしておくこと」「道路冠水が始まるまでに避難開始すること」です。台風のように予測できる災害なら、雨が降る前にペットシーツやペットフードなどを車に入れておきましょう。
ペット同士のケンカも人間に影響する
小型犬同士でよく見かけるのが吠えあう姿。飼い主同士もおたがいに険悪になる場合もあります。深夜にケンカが始まると周囲の避難者からも苦情がでてきます。
避難所で病気になったときのためにペット保険に入っておく
ペットは環境の変化に敏感なため、避難所生活で体調をくずすのは自然なことです。しかし、動物病院の診察料は健康保険などがないため、通院するとなるとすぐに数万円の出費がかかります。
最近はペット保険も格安のものも増えてきていますので、念のため入っておくことをおすすめします。
ペット保険は、少し勉強してから加入を検討しましょう。ペット雑誌や損害保険会社の広告イメージだけで決めてはいけません。必要十分な保険かどうかを選べる程度は知っておいたほうがベストです。
ペット保険についての情報は、ネット上にもいろいろ書かれているので検索すればある程度のユーザ側の声が調べられます。
本で読むなら、アマゾンの読み放題サービスの(Kindle Unlimited)の30日間無料体験を使えば、かなりの情報が手に入ります。
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まとめ〜ペットとの避難所生活には入念な防災準備が必要
避難所では基本的に「人命優先」です。さらに、避難者は健康な人ばかりではなく、基礎疾患のある人や妊婦さん、障害者やけが人もいます。
ペットを家族同然と思っていても、避難所では玄関先での避難となります。できれば車中泊で、お互いに落ち着いた空間で避難するのが人間もペットも安心です。
ペットが大切なら、ぜひ人間同様に防災準備を済ませておき、いざというときにすぐに避難できる体制を整えておいて下さい。