河川氾濫とは、川の堤防が決壊したり川の水が堤防を越える(えっすい)ことで発生する水害です。都市型浸水がゆっくり水深が深くなるのに対し、河川氾濫は一気に水深が深くなります。さらに、水流があるため車なども流されてしまいます。
また、都市型浸水に比べて非常に深い水深になり、土砂混じりの川水が広範囲にあふれるため、逃げ遅れる可能性が高いと言えます。いかに早く避難を決断し、どの道で、どこへ向かうかを決めることが必要です。
浸水ハザードマップを見て自宅が浸水エリアか確認
河川氾濫時の水深は、浸水ハザードマップ(外水ハザードマップ)を見ることで確認できます。あなたの住む市区町村が約5年ごとにシミュレーションを更新した改訂版を作成しています(一部自治体を除く)。避難経路や避難目的地を確認するためには必須の情報です。
河川氾濫が発生したとき、自宅が何メートルの水深に浸かるのかは浸水ハザードマップで確認します。ホームページでも見ることができるので、必ず一度は熟読しましょう。
《参考》わがまちハザードマップ(国土交通省)
東京都内のエリア別ハザードマップを閲覧、ダウンロードできます。東京都に限らず、各都道府県のホームページで公表されていますので、検索してみてください。
堤防決壊時にどうやって避難すればいいのか
堤防が決壊した場合、広範囲に深い水深の洪水が発生します。一方で、地形によっては浸水がないエリアもあります。堤防が決壊するまでに、浸水がないエリアへ避難するか、想定される水深以上の建物に避難するかの2択となります。
まずは、堤防が決壊したときの想定水深と浸水エリアを外水(洪水)ハザードマップで確認します。もしも、自宅から近い場所に浸水しないエリアがあるなら移動しましょう。また、想定浸水以上の建物に住んでいる場合(マンションの上層階など)は、自宅避難をすることをおすすめします。
このように、堤防決壊で発生する水深と、浸水想定アリアをしっかり把握しておくことで、避難方法を自分で決定することができます。まずは、情報収集から。ハザードマップは市区町村のホームページなどで今すぐにでも確認しましょう。
河川氾濫時の避難方法
河川が氾濫すると避難はほぼ不可能です。近隣の大きな河川には水位計がついています。豪雨時は水位の情報に注意し、逃げるタイミングを逃さないようにしましょう。
わたしも一級河川のそばに暮らしているので、国土交通省の水位ライブカメラはスマホのブラウザにブックマークしています。水位が明らかに増えてきたら、早めに避難を決断しましょう。
《参考》川の防災情報(国土交通省)
河川氾濫は、堤防の決壊だけでなく、水が堤防を越えてくる越水(えっすい)でも発生します。また、降雨量が少なくてもあなたの住んでいるエリアの下流で流れの悪い場所や、複数の川が合流するポイントがあると上流域の水かさが増すため、越水が起こることがあります。
このような水の挙動は一般市民では理解しづらいため、市区町村が発表しているハザードマップを十分に活用することが最適解と言えます。たった15分で構わないので、あなたのまちのハザードマップを熟読してください。命を守るヒントが数多く掲載されています。
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車での避難は正解か不正解か
洪水時の避難方法として、車の避難はケースバイケースです。近隣の河川が氾濫水域に達しそうなら、車で丘方面へ移動するのは正解です。
逆に、すでに道路冠水が進んでいるときは車避難するべきではありません。車が冠水して動かなくなったり、車ごと流されて命を落とす可能性が高まります。
車での避難が有効な条件は次のとおりです。
- 自宅の想定浸水水深が住宅の2階を超える
- 乳幼児や高齢者との避難が必要な場合
- 道路冠水がまだ進んでいない
- 避難経路に道路冠水の危険がない
- 避難経路に橋がない
- 避難地に十分な駐車スペースがある
逆に車避難ではなく自宅避難が有効な条件は次の通りです。
- マンションの3階以上に住んでいる
- 避難所がそばにあり徒歩のほうが早い
- 豪雨で、街中が停電している
- 車の運転に慣れていない
- 車が地下駐車場にある
近年では車での車中泊避難も推奨されていますが、避難所に向かう道中で命を落とすケースもあります。安易に車を選択するのではなく、リスクが低いかどうかで判断しなければなりません。
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