津波は、海底で発生した地震や海底火山の噴火により発生する自然災害です。広く沿岸部に被害が及ぶため、徒歩なら垂直避難、車なら高台や丘陵地への移動が有効となります。
実際の被害について伝承館が設置されています。お近くの方はぜひ一度立ち寄ってみてください。
津波による被害とは
当時、陸前高田市へ行ったときは電柱が倒れたままでした。停電2ヶ月目に入った頃だったと思います。
津波による被害は想像を超える破壊力とスピードだけでなく、潮が引いた後の海底の泥など複雑に絡み合っています。
津波の破壊力
幼い頃、川のせせらぎで遊んだことはありますか?ほんの30cmほどの水深でも足を水流に押されて驚いたことがあるのではないでしょうか。
《参考》津波の特徴(名古屋地方気象台)
ネット上でも数多くの津波被災地の画像を見ることができますが、現地で見たときの恐ろしさは表現しきれません。
たとえば、河口沿いに津波が河川を逆流したため、鉄道の鉄橋がねじれ曲がって落ちている様子や、明らかに川下から押されてきた大きな岩を見て、逃げるしか方法がないことを思い知りました。
海水による浸水
台風による浸水被害とは確実に水量が違います。また、波であるため、押し寄せた後にさらに押し寄せたり、引き潮のように物を引きずってゆくという動きがあります。
水は海水であるため、あらゆるものに塩が残ります。
津波が運ぶ海底の泥
津波は、海底のヘドロを巻き込んで街に到達します。通常の海水ではなく、泥水となっているため、万一泳げるほどの水流になった場所でも、水中で目を開けることはできません。
また、津波が引いた後は河川のヘドロとは違う、独特な異臭のする泥が残ります。救援活動後に現地の方から、このヘドロが春風にのって舞い上がり、喉を襲ったと聞きました。
肺炎になる人もいたようで、被災後もマスクの着用が有効と感じました。
津波の可能性確認は地震速報で受け取る
防災アプリや天気アプリをスマホへインストールしておけば、地震速報とともに津波の恐れがあるか、evacuationが必要化を通知してくれます。
救援活動中も余震が続いていましたが、その都度「津波の恐れはありません」といった細やかな通知がありました。無料のアプリで十分です、防災アプリはぜひインストールしておいてください。
津波の前には地震が発生している
令和4年から運用開始された後発地震注意報は、北海道から三陸沖を中心にした大地震の後に更に大きな地震発生の危険警報です。
津波は、大地震の後に発生します。つまり、すでに街では大地震が発生しているので津波が到達するまでに少しの避難猶予があります。
どうしても焦りと不安から正しい判断ができなくなるのは仕方のないことです。正しい判断ができないことを前提に、通常時に避難経路や避難場所をハザードマップを使って検討しておくことが重要です。
津波が発生したら高い場所へ避難
前述の後発地震注意報で想定されている津波の高さは、最大30メートルもあります。
小学校のプールが25メートルですから、相当な高さ、量の海水が迫ってくることになります。
一番安全なのは、丘陵地などの高台へ素早く移動することです。すぐに移動できない場合は、せめて高いオフィスビルや大型ショッピングモールの屋上などをめざして走ってください。
津波が終わったあとの2次被害
津波が引いたあと、街中には海底の泥が残ります。電柱や上下水道も詰まったり破壊されたりするため、無人島にいるかのような状況になります。
海底の泥は乾いて風で巻き上がると喉を痛めるので、がれきの掃除などの際にはマスクをするか、タオルで鼻と口をおおってください。
また、海底の泥は道路や住宅のみならず、田畑にも残ります。塩も残るので、土の入れ替え作業が必要になります。
東日本大震災で被災した街では、国の援助を受けて大規模な都市計画(まちづくり)の変更を進めています。住居地をより高台へ移す、防波堤を強く、高くする、一時避難用の建造物をつくるといった工事が今もなお続いています。
再生への道は長く遠くても、被災地内外の人の想いが街を安全なカタチへと変えています。